2016年05月

『ストレス・マネジメント入門 自己診断と対処法を学ぶ [第2版]』

中野敬子『ストレス・マネジメント入門 自己診断と対処法を学ぶ [第2版]』(2016年、金剛出版)

ストレスについての一般的な解説から始まり、どういう特性を持った人がストレスに強いのかについての解説、自己診断のための質問票、各種のストレス対処法がまとめられている。
ストレスについて総合的な理解を得ることができる点でとても価値がある。
自分でできる診断法・対処法が載っていおり、実践的な内容である。
とりわけ、診断の結果に応じてどのストレス対処法を用いればよいのかが指示されているのは分かりやすい。

実証研究に基づく記述には信頼感がある。
著者は精力的に活動している研究者のようで、参照している文献も自身の論文が多い。

どういう人がストレスに強いのかということについては常識的に何となく分かっていることではあるけど、いろいろな研究で示されている知見を知ることができてよかった。
読んでて「あ、自分やばいかも」と思ったところが多かった。
自分について振り返る良い機会になった。

ライトな心理関連の本とはかなり性質が違い、読むのに骨が折れるのは確かである。
質問票を載せているためか、本が大きくて持ち運びに適さない。
この本は、腰を据えてじっくり取り組みたい人向けである。
一生に一度読んでおくと、生きていく上でかなり役立つ本だと思う。

メロと「メロ以外」を混在させるギター演奏

前の記事の譜例にはもう一つ論点がありますのでここで述べます。
今回もギターの編曲法の話です。

1. メロと「メロ以外」を混在させるギター演奏とは

前の記事の譜例は、単音の部分とアルペジオの部分に分かれています。
【譜例】(画像クリックで拡大)
natsuKonzai
緑線で囲った(一部を除いて)単音の部分がメロになっており、アルペジオの部分がバッキングっぽいフレーズになっています。
つまり、一つのギターパートでメロとバッキングを交互に演奏していることになります。
これが「メロと『メロ以外』を混在させるギター演奏」です。
ここにおいて「メロ以外」とは、バッキングや裏メロを指します。

譜例からメロの部分だけを抜き出したものがこの曲の元々のメロです。
元々の状態だと、休符とロングトーンがかなり多い譜面になります。
そのため、そのまま弾くと音の隙間が多くできることになり、少し寂しい感じがしてしまいます。
そこで隙間の部分にアルペジオを挿入して埋めることで、この寂しい感じを無くそうとしたのがこの譜例ということになります。

2. どのような場合に使うべきか

この「メロと『メロ以外』を混在させる」というテクニックはどのような場合に用いられるべきでしょうか。
ここでは次の二つを挙げます

2-1. 音の隙間を埋めたい時

一つ目は、譜例からメロ部分だけ抜き出したもののように音に隙間ができており、それを埋めたい時です。
メロに休符やロングトーンが多く、音に隙間ができた状態だと、退屈な感じ・寂しい感じがすることがあります。
そうした場合に、音の隙間を埋める必要が生じます[注1]。

音の隙間を埋めるという場合、次の三つの方向性があります。
(1)メロを変えて隙間ができないようにする……メロのパートにおける休符やロングトーンを減らす、あるいはビブラートなどを用いて一つの音の中で変化をつける
(2)メロのパート以外のパートで隙間を埋める……別のパートで裏メロを入れたり、ベースラインを動かしたり、ドラムのフィルを入れたりする[注2]
(3)メロのパートに「メロ以外」のフレーズを挿入する……メロのパートにバッキングや裏メロを入れる

このテクニックは(3)の方策をとるものです。

(2)がやりにくい状況としては次のものが挙げられますが、特にこのような場合に(3)は有効なものになります。
・パート数が少なく、他のパートで裏メロを入れることが難しい時
・他のパートで裏メロを入れたりすると、くどいと感じられる時(つまり、音の隙間を埋めたいが、他のパートで裏メロを入れるほどではないというような微妙な状況の時)

2-2. 多彩な演奏にしたい時

二つ目は、多彩な演奏にしたい時です。
音の隙間を埋める必要性とは関係なく、もっと積極的にこのテクニックを使っていくものです。

メロと「メロ以外」が混在した演奏は、一つのパートに複数の要素を含む多彩なものになります。
そこで、多彩さを表現したい時に、メロと「メロ以外」を混在させる形でメロのパートを構築するという手法を用いることができます。

3. どのように使うべきか

このテクニックを用いると、メロと「メロ以外」を同じパートで交互に演奏することになるため、メロと「メロ以外」の区別がつきにくくなります。
そこで、区別を明確にするために、意識的にメロと「メロ以外」のコントラストをつけることが必要になります。

コントラストをつける方法としていろいろなものが考えられます。
例えば次のようなものが挙げられるでしょう。
(1)奏法を分ける……メロは単音にし、「メロ以外」はコードやアルペジオにする
(2)音の動き方を分ける……メロは動きのあるものにし、「メロ以外」は単調なものにする
(3)音域を分ける……メロの音域を高くし、「メロ以外」の音域を低くする
(4)音の長さを分ける……メロの部分を長くし、「メロ以外」の部分を短くする[注3]
(5)音色を分ける……メロではワウペダルを踏み、「メロ以外」では踏まない

譜例で用いているのは(1)(2)です。
譜例では以下のことをしています。
・メロは単音にし、バッキングはアルペジオにする
・バッキングでは同じフレーズを繰り返して単調な演奏にする。それによってメロの動きを際立たせる

[注1]
「ゆったりした感じ」「落ち着いた感じ」「緊張感」などを表現したい場合には、音の隙間はポジティブな効果を生みます。
ここで問題にしているのは、それとは反対に音の隙間がネガティブに作用してしまうような状況です。

[注2]
譜例の原曲(ボーカル版の「夏影」)では、ピアノのアルペジオで音の隙間を埋めています。

[注3]
「音の長さを分ける」という方法を積極的な形で用い、編曲の起点にしてみるとおもしろいものができるかもしれません。
例えば、「1小節におけるメロとバッキングの長さの比率を3:1にする」ということをまず決め、そこからフレーズを考えていくようなやり方です。
これは、「まずメロを作り、その隙間を『メロ以外』で埋める」ことを考えるのではなく、「メロと『メロ以外』の長さの比率をまず決め、そこからフレーズ全体を構築していく」という発想です。

異弦同音のユニゾンを活用したギター演奏

1. はじめに
今回はギターの編曲法の話です。
「異弦同音のユニゾンを活用したギター演奏」について述べます。

異弦同音とは、「弾く弦は異なるが同じ高さの音」を意味します。
例えば、1弦開放と2弦5フレットの音は同じE音が出ます(チューニングの時に弾くやつです)。
異弦同音では同じ高さの音が出ますが、弾く弦が異なるため、音「質」が異なります。
異弦同音を同時に鳴らすと、「高さは同じだが音質が異なる」音が同時に鳴ることになり、透明感と厚みのある独特の響きが生まれます。
この独特の響きを編曲に積極的に取り入れようというのが本稿の主旨です。

2. 例示
まず実例を示します。
僕の「夏影」(『AIR』)のアレンジの一部をタブ譜で示しますので弾いてみてください。
1小節1拍、2小節2拍裏~3小節1拍、4小節2拍裏~5小節1拍はアルペジオで弾きます。
<譜例1>
natsuex1
(画像クリックで拡大)
ここではアルペジオ部分において、1弦開放と3弦9フレットの音が異弦同音であり、同時に鳴っています。
このアルペジオ部分が独特の響きとなっていることを実感してもらえると思います。

3. 比較
このテクニックの効果を明確にするため、異弦同音を用いない譜例も示します。
<譜例2>
natsuex2
(画像クリックで拡大)
譜例2では、譜例1で1弦開放を用いていた部分を3弦9フレットに変えています。
ギターの演奏では高い音ほど高音弦で弾くというのが通常であり、譜例2の方が一般的な演奏と言えます。

譜例1と譜例2は、五線譜にすると同じになります(譜例1において1小節・3小節の2拍でE音が二つ鳴っているというところだけが違います)。
しかし弾いてみると、響きが大きく異なったものになることが分かってもらえると思います。

4. どのような場合に用いられるべきか
このテクニックはどのような場合に用いられるべきでしょうか。
ここでは三つの条件を示します。

(1)開放弦の音を使うことができるキー・コード進行である場合
まず第一にギターの構造上の制約があります。
開放弦を用いずに異弦同音を同時に鳴らそうとすると、押さえるフレットが離れているため、弾くのがかなり困難になります。
例えば、1弦1フレットと2弦6フレットを同時に押さえるのは無理です。
よって、異弦同音を同時に鳴らすことを実現するには、開放弦を使う必要があります。
この「開放弦を使う必要がある」という条件により、このテクニックを使えるキー・コード進行は限られてしまいます。
しかし、この「開放弦の音を使わなければならない」という制約がおもしろい効果を生むことも事実です。
特定の音を多く使う方向に促されることによって、曲に特徴が生まれやすくなるのです。

(2)透明感や爽やかさを表現したい時
異弦同音によるユニゾンは、透明感や爽やかさを感じさせる独特の響きになります。
そのため、曲で透明感や爽やかさを表現したい時に用いると大きな効果を発揮します。

(3)音に厚みを出したい時
異弦同音によるユニゾンは、音に厚みを出したい時の選択肢の一つとして有効です。
「単音では物足りないから音を足そう」という時、一般に(i)オクターブで和音を作る、(ii)オクターブ以外の音で和音を作る、という選択肢があります。
しかしこのテクニックを使えば、(iii)ユニゾンで音を重ねる、という第三の選択肢が加わることになります。
とりわけ、「単音では物足りないけど、和音にすると行き過ぎだ」というような微妙な状況において、このテクニックが効果を発揮するでしょう。

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