2016年06月

開放弦をキープし、押さえている弦を変化させる

1. はじめに
前回の記事「ある要素をキープし、ある要素を変化させる」の一類型として、「開放弦をキープし、押さえている弦を変化させる」について述べます。
「押さえている弦を変化させる」とは、「(開放弦ではなく)押さえている方の弦については、押さえるフレットを移動させる」という意味です……が、説明しにくいのでとりあえず下に進んでください(;´Д`)

2. 開放弦をキープする理由
「ある要素をキープし、ある要素を変化させる」において問題となるのは、「どの要素をキープし、どの要素を変化させればよいのか」ということです。
ギターの演奏においてキープするのに適した音は何かといえば、それは開放弦の音です。
それは次の二つの点によります。

(1)開放弦は演奏コストが低い(=弾きやすい)です。
特定の音をキープするということは、続けて何度も弾くということです。
続けて何度も弾くことに適した音はどの音かといえば、それは演奏コストが低い(=弾きやすい)音ということになります。
ギターの演奏において演奏コストが低い音は、フレットを押さえずに弾くことができる開放弦の音です。
(2)開放弦の音は音質が良い豊かな音です。
続けて何度も弾く音は音質が良いことが望ましいため、開放弦の音が適しています。

このため、「キープに適している開放弦の音をキープし、開放弦以外の音を変化させる」ことが有効な手法になります。

3. 譜例
この手法を用いた譜例を以下に示しますので弾いてみてください。
僕の「みんながいる」中盤(5:05~)のアルペジオです。

【譜例】(画像クリックで拡大)
KeepKaihou
ここでは一貫して1弦・2弦の開放をキープし、6~3弦で押さえるフレットを移動しています。
これにより、キープと変化の二つの要素を含む演奏になっています。

4. 譜例のポイント
この譜例のポイントを三点挙げます。

(1)3・4小節めでは、3弦の音が2弦の音より高くなっています。
これは、高い音ほど高音弦で弾く一般的なギター演奏から逸脱するものです。
そのため、アルペジオの響きがユニークなものになっています。
「開放弦をキープする」という縛りを入れることによって、このようなユニークな音が生まれています。

(2)3小節め~4小節めの指の動きを見てください。
押さえる指の形はそのままにして2フレット上にずらすだけ、という機械的な動きをしています。
それにもかかわらず、出てくる音は機械的に上昇していく感じになりません。
キープと変化が同時に起こることにより、キープされる開放弦の音とそれ以外の音との関係(音程)が変化していくからです。
例えば、3小節めでは2弦・3弦は半音でぶつかっていますが、4小節めでは全音の音程になっています。

(3)最高音である1弦開放のE音をキープしつつ、ベース音がF#→A→D→Eと上昇していくため、「アルペジオの音域がどんどん狭くなっていく」という一貫した流れができています。
このように、要素を単に変化させるというだけでなく、その変化に一定の流れを持たせることは有効な手法です。

『4枚組のCDで実践する マインドフルネス瞑想ガイド』

J. カバットジン(著)、春木豊・菅村玄二(編訳)『4枚組のCDで実践する マインドフルネス瞑想ガイド』(2013年、北大路書房)

本として流通してはいるが、実質的に「薄い本つきのCD」である。
マインドフルネス瞑想のための長時間のガイド音声が4枚のCDに収録されている。

本の部分は、カバットジンが書いた「実践する心構え」についての解説と、訳者による短い解説である。
マインドフルネス瞑想の意味・やり方についてあまり書かれていないので、この本・CDのみで実践するのは無理がある。
マインドフルネスストレス低減法』のサポートとして用いることが前提となっていると言える。

このガイド音声はとても役に立つ。
『マインドフルネスストレス低減法』の解説を読んだだけでは、どのように瞑想を進めていけばいいのかがよく分からなかった。
45分にもわたる瞑想のやり方について、文章だけ読んでもピンとこなかった。
ガイド音声を聴くことで、瞑想の進め方の調子がやっと分かってきた。

しかし、ガイドを聴きながらやることにも問題があった。
ゆったりした調子のナレーションなので、眠くなってきて集中しづらくなる。
また、聴くことと注意集中の両方を並行してやることになるので、集中が難しくなってしまう。
これはけっこう難しい問題だけど、このように「うまくできないや」という葛藤もただ観察するだけというのがマインドフルネス瞑想なんだった。

『マインドフルネスストレス低減法』

J. カバットジン(著)・春木豊(訳)『マインドフルネスストレス低減法』(2007年、北大路書房)

提唱者であるジョン・カバットジン自身による、マインドフルネスストレス低減法の解説書。
完全に一般向けに書かれており、実に読みやすく分かりやすい内容である。
内容はかなり濃く、単なる健康法ではなく、生き方について多くの示唆を与えてくれる。

前半部分は瞑想法の実践についての解説であり、後半部分はストレスや病気への接し方についての解説となっている。
長い本ではあるが、掲載されている瞑想法はシンプルで数が少なく、取り組みやすい。
座禅を組んだりする必要はなく、椅子に座ったり横になったりしてできる。
そもそも痛みに苦しんでいる人向けのものであり、身体に負担がかからないように作られている。
8週間のプログラムの進め方について具体的に解説されているので、迷ったりせずに取り組んでいくことができる。

僕はこれまで瞑想について全く知らなかったので、この本は実に勉強になった。
注意を集中して現在の心と体を観察するというのは、これまでしたことがない頭の使い方で新鮮である。
瞑想法というのはもっと難しいものだと思っていたが、この本の内容ならとてもやりやすく、続けていけそうだと思った。

ある要素をキープし、ある要素を変化させる

音楽において、「ある要素をキープし、ある要素を変化させる」ことは、とても有効でよく用いられる手法です。
この手法を用いることにより、キープと変化という複数の要素を含む複合的な曲にすることができます。
そのような曲は、キープと変化が互いを際立たせる有機的なものになります。
キープによって変化が明確になり、変化によってキープが明確になります。

「ある要素をキープし、ある要素を変化させる」手法の一つの例として、ペダル・ポイントが挙げられます。
ペダル・ポイントは、「コード進行を変化させつつ、特定の音(ベース音など)をキープする」という形で使われる、一般的な編曲テクニックです。
例えば、コードが|C|G/B|Am|G|と進行する中で、高音のG音のストリングスを伸ばしっぱなしにするようなことがそれに当たります。

「ある要素をキープし、ある要素を変化させる」ことと対極をなすのは、キープか変化のいずれかしか含まないようにするやり方です。
例えば、複数のパートをユニゾンでそろえるような手法がそれに当たります。
これもまた音楽の定番です。
「キープと変化の両方を含む」ようにするか、「キープか変化のどちらか一方だけ」にするかは、曲でどのようなことを表現したいのかに応じて柔軟に判断されるべきことです。

「ある要素をキープし、ある要素を変化させると、有機的な音楽になる」という理論は、たいへん抽象的であるがゆえに、様々な形で具体化することができます。
今後の記事では、僕の曲を参照しながら、そのような具体化の例について述べていこうと思います。
この記事はその前置きでした……。
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