音がなる電卓」では効果音を選択できるようにしています。
効果音選択ダイアログでは「電話」「ギター」の音を並べて表示していますが、両者においては背景となる考えが異なっています。
以下にそれぞれ説明します。

電話
「電話」音は、「空間に音を配置する」という考えに基づいています。
スマホの画面という空間に存在する各ボタンに効果音を割り当てており、それぞれのボタンは常に(時間の経過によらず)同じ音を出します。

ギター
一方、「ギター」音は、「時間に音を配置する」という考えに基づいています。
電卓を操作するという行為は、次のような4つの機能を持つ連続した行為の時間的な流れにより構成されています。

(1)1つめの数字を入力(開始)
(2)+-×÷を入力
(3)2つめの数字を入力
(4)=を入力(終止)

このような「異なる機能を持つ要素の時間的な流れ」から構成されるものとしては、音楽におけるコード進行が挙げられます。
コード進行の観点からは、音楽は「トニック・サブドミナント・ドミナントといった各機能を持つコード(和音)の時間的な流れ」として理解されます。

こうしたことから、僕は電卓の操作とコード進行を結びつけてみるとおもしろいんじゃないかと思いました。
そこで、上述の電卓の操作(1)~(4)に対して、次のようにコード進行を割り当ててみました。

(1)1つめの数字を入力 ― D(トニック)
(2)+-×÷を入力 ― G(サブドミナント)
(3)2つめの数字を入力 ― A(ドミナント)
(4)=を入力 ― D(トニック)

キーは、ギターのコードがとても美しく鳴るDメジャーです。
ここにおいては、電卓操作上の機能とコード進行上の機能を一致させることを図りました。
「1つめの数字を入力」する、すなわち電卓操作の始点である(1)に対して、コード進行において始点となることが多いトニックを結びつけています。
また、「(4)=を入力」は、電卓操作において終止の機能を持つ行為であることから、コード進行において終止の機能を持つトニックを結びつけています。

こうしてできたのが「ギター1」の音です。
変化をつけるため、2回めの操作ではコード進行を「Bm G A D」にしています。
そのため、「ギター1」で電卓の操作を続けると、|D G A D|Bm G A D|のコード進行を繰り返し鳴らし続けることになります。

このように、「ギター」の音では、時間の流れに音を配置しているため、同一のボタンの音が時間によって変化します。
すなわち、操作の時間軸上の(1)(3)のどちらにあるかによって、数字ボタンの音がDになったりAになったりします。